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偽りの名 呵々闘諍の日記(力水の書いたやつ) 決闘時空まとめページ
2013-03-03(日)
決闘時空(デュエルスペース)第六話 Part4

決闘時空 第六話「夢見る者」続き

「僕は能力で手札を全て交換します…!(手札3→0→3)」
「ここで手札の総入れ替え…!大庭さん、かなりまずいんじゃないでしょうか…。」
「そうかもしんねぇ…。だけどアタシたちは信じて見守るしかできねぇ。」
「大庭君…。」
「ここが正念場ね…。」
ダークシンクロの脅威の能力を目の当たりにして吉井たちの不安は募っていく。
だが、自分たちは見守るしかできない。基の勝利を信じて待つしかないのだ。

「オレはこれでターンを終了する!くくく、その手札で『CHIKUSHO−DO』を攻略できるかな?」

(7ターン目)
南 真吾:LP2550手札0
場:《六道神 CHIKUSHO−DO》(ATK5000)、《終末の騎士》(DEF1200)
場:

大庭 基:LP3600、手札3
場: 《アーマー・カッパー》(ATK1400)(ORU1)
場:


「僕のターン、ドロー!(手札3→4)」
手札の枚数だけは大量に揃っている基であったが、状況は最悪であった。今の基が負っているレベルマイナスの能力によって魔法カードを即座に使えずタイムラグがある。
『CHIKUSHO−DO』はフィールドを離れても再び戻ってくる能力があり、プレイヤーを直接狙っても墓地に存在する2枚の《ネクロ・ガードナー》をどうにしかなければならないのである。
「《アーマー・カッパー》を守備表示に変更。効果でエクシーズ素材を一つ取り除いて守備力を1000ポイント上げます。」


《アーマー・カッパー》DEF1000(ORU1)→DEF2000(ORU0)


「守備力を上げても無駄だ!『CHIKUSHO−DO』には守備表示モンスターを攻撃したときに貫通ダメージを与える効果がある!《アーマー・カッパー》をそのまま戦闘で破壊し、《終末の騎士》で止めを刺せば終わりだ!」
「ぐ!デュエリスト能力で2枚の手札を交換!(手札4→2→4)……!!」
ドローしたカードを見て基は目を見開く。このカードならば南を倒すことが出来るかもしれない、と思い願いを込めつつカードを伏せる。
「僕は4枚のカードを伏せてターンを終了します!(手札4→0)」
「大庭が手札を全て伏せた!?」
「大庭さんは次のターンに勝負に出るつもりだ!」
「でもこれって…。」
「失敗すればまず勝ち目は無いわね…。」
吉井たちは『CHIKUSHO−DO』の効果の全容を把握しているわけではなかったが、次のターンに基が南を倒せなければもう勝ち目は無いと確信してしまっていた。
基はここで賭けに出たのだと感じ取ってしまったのだ。

(8ターン目)
南 真吾:LP2550手札0
場:《六道神 CHIKUSHO−DO》(ATK5000)、《終末の騎士》(DEF1200)
場:

大庭 基:LP3600、手札3
場: 《アーマー・カッパー》(DEF2000)(ORU0)
場:伏せ×4


「4枚のセットカードでオレに攻撃を躊躇わせようという魂胆なんだろうが、そう上手くはいかないよ。ドロー!(手札0→1)」
『CHIKUSHO−DO』を場に出し優位に立った南のテンションはかなり上昇しており、基の伏せカードをただの小細工としか見ていなかった。
「ここでこのカードが来たか。そっちの手札は悪かったみたいだけど、こっちはどうかな?魔法カード《貪欲な壺》を発動!(手札1→2)選択するのは《キラー・トマト》、《ドラグニティ−ブラックスピア》、《ダーク・グレファー》、《嵐征竜−テンペスト》、《ハーピィ・クィーン》の5枚!」
「…っ!《貪欲な壺》!」
基はこのタイミングでセットカードを発動しようか悩む。
基が伏せたカードの1枚は《転生の予言》。墓地のカードをデッキに戻すことの出来るこのカードならばドローを封じることが出来るだろう。
だがしかし、その後が問題である。もし、ここでドローを封じれば南は攻撃をして来ない可能性がある。《ダーク・シムルグ》を主力にしている南のデッキならばセットカードを除去するカードを引くまで粘ってくる。そう考えた基はドローする2枚のカードに除去カードを来ない方に賭けた。
「2枚ドロー!(手札0→2)くくく、良いカードを引いた!《幻銃士》を召喚!(手札2→1)こいつの効果で「銃士トークンを2体特殊召喚する!」


《六道神 CHIKUSHO−DO》ATK5000、《終末の騎士》DEF1200、《幻銃士》ATK1100、《銃士トークン》DEF500、《銃士トークン》DEF500


「まずい、また生贄のモンスターが増えやがった!」
「ここでまたあの効果を使われたりでもしたら…!!」
見城たちは南がモンスターを展開したことによって焦る。
だが、基はその逆であった。南が伏せカードを気にせずにモンスターを展開したということはこのターンで攻撃してくると確信出来、このまま罠カードで勝利ができると思っていた。
「《終末の騎士》を攻撃表示に変更!くくく、どうせそれらの伏せカードはブラフだろ?このまま止めを刺してやるよ!《銃士トークン》2体をリリースして『CHIKUSHO−DO』の効果発動!攻撃力を1000ポイントアップし、このターン相手に与える戦闘ダメージを倍にする!」


《六道神 CHIKUSHO−DO》ATK5000→ATK6000


『CHIKUSHO−DO』は大きさを増し、攻撃力を上げる。放たれるそのオーラの禍々しさからその攻撃を受ければただでは済まされないということを物語っていた。
「バトル!『CHIKUSHO−DO』で《アーマー・カッパー》に攻撃!」
「その瞬間を待っていました!《魔法の筒》を発動!」
攻撃を仕掛ける『CHIKUSHO−DO』の目の前に巨大な筒が現れ《アーマー・カッパー》への道を遮る。
「ここで2枚目の《魔法の筒》!大庭はこれを狙っていたのか!」
「このまま攻撃を跳ね返せば南先輩のライフポイントは…!」
「0になって大庭君の勝利ね!」
「……なんだか嫌な予感がするわ。」
このまま基が勝利を収めると思った見城たちは喜ぶ。しかし、朝比奈は南の表情が変わらないのを見て不気味に思い浮かれていなかった。
「その程度読んでいないとでも?!速攻魔法《禁じられた聖槍》発動!『CHIKUSHO−DO』の攻撃力を800ポイント下げる代わりにこのターン魔法・罠の効果を受け付けない!《魔法の筒》は対象の攻撃を防げなければこちらへのダメージは発生しない!」
「「「ああ…!!」」」


《六道神 CHIKUSHO−DO》ATK6000→ATK5200


『CHIKUSHO−DO』の片手にもう一本の槍が追加させられ、その槍は筒を貫き、《アーマー・カッパー》目掛けて放たれた。


《六道神 CHIKUSHO−DO》ATK5200→《アーマー・カッパー》DEF2000
《アーマー・カッパー》(破壊)


《アーマー・カッパー》は槍で貫かれ、破壊され、その爆風が基に襲い掛かる。
「大庭ー!!」
見城の悲痛な叫び声が公園に響き渡る。それを見て南は高笑いを上げる。
「くははははは!これでオレの勝ち…」
「いや、まだ終わるわけにはいきません…!」
南の台詞を遮り、煙から出てきたのは無傷の基であった。

大庭 基 LP3600 手札1
場:
場:《ガード・ブロック》、伏せ×2


「ち、《ガード・ブロック》か…。」
「「「「大庭(さん、君)…!!」」」」
何とか耐え凌いだ基の姿を見て吉井たちは再び活力を取り戻す。だが、依然として脅威が去ったわけではなかった。
「《終末の騎士》と《幻銃士》でダイレクトアタック!」
「ぐぅ!」


《終末の騎士》ATK1400→(直接攻撃)

《幻銃士》ATK1100→(直接攻撃)

大庭 基 LP3600→LP2200→LP1100


基の伏せているカードはどちらも攻撃を防ぐことの出来るカードではないため、2体のダイレクトアタックをもろに受けることとなった。
その様子を見て南はもう基に逆転の手が無いと確信する。
「もう防ぐ手立ては無いようだな。だが、念には念を。メインフェイズ2、《終末の騎士》と《幻銃士》をリリースして、『CHIKUSHO−DO』のもう一つの効果を発動させる!」
「なっ!?」
《終末の騎士》と《幻銃士》は『CHIKUSHO−DO』の持つ槍に吸収される。すると、槍は元の時計台の形になり『CHIKUSHO−DO』も悪魔の姿から可愛らしい山羊のぬいぐるみの姿に戻った。
そして、時計台の針が逆周りをし始め再び12時の時を指し、鐘を鳴らす。
「これでお前の次のターンのドローフェイズをスキップする!」
「ドローが封じられただって!?」
「大庭さんの手札はあの1枚だけ…!」
「頼れるのはあの伏せカードだけど…。」
「墓地には《ネクロ・ガードナー》が2枚…。どうするの、大庭。」

基にとってドロー封じは厳しかった。今手札に握っているカードは《裏ガエル》のみ。
肝心のセットカードは《転生の予言》と《異次元からの埋葬》であった。
《転生の予言》は《ネクロ・ガードナー》を封じるのに使えるものの、《異次元からの埋葬》は南がさっき言ったようにブラフであった。
いや、実際には基は《異次元からの埋葬》を使うことを拒んでいた。それは基に残された最後の手であり、ここで使うわけにはいかないと考えているからだ。

(チャンスはあと、2回…!)
基は能力が使える2度のチャンスに賭けることを決意する。
「デュエリスト能力で手札を1枚入れ替える…!(手札1→0→1)」
(《死の合唱》…!これじゃ駄目だ!《邪帝ガイウス》なら勝てるんだ!頼む、来てくれ!)
基は最終手段を使わずに倒せる唯一のカード、《邪帝ガイウス》を狙うが、虚しくも別のカードを引いてしまう。
「おやおや、その様子だと良いカードを引けないようだね。これで僕はターンを…」
「罠カード、《転生の予言》を発動!南先輩の墓地にある《ネクロ・ガードナー》2枚をデッキに戻します!」
「ち、悪あがきを!これで正真正銘のターンエンドだな!?」

(9ターン目)
南 真吾:LP2550手札0
場:《六道神 CHIKUSHO−DO》(ATK6000)
場:

大庭 基:LP1100、手札1
場:
場:伏せ×1


デュエルディスクはターン終了の宣言を受け入れ、基にターンが回ってくる。
「僕のターン…。」
ドローフェイズがスキップされ、スタンバイフェイズから始まる。基は固唾を呑み、覚悟を決めてデュエリスト能力を発動させる。
「デュエリスト能力発動…!(手札1→0)」
基は唯一の手札をデッキに戻し、デュエルディスクにシャッフルさせる。
最後のドローだということが吉井たちも解っているのか、黙って見守っている。

「これが、最後のドロー…!(手札0→1)」
基は勢いよくデッキトップからカードをドローする。そして、引いたカードは…。


《魔知ガエル》


「……僕は、伏せていた《異次元からの埋葬》を発動します。ゲームから除外されている《粋カエル》、《裏ガエル》、《引きガエル》の3枚を墓地に戻す……。」
基は暗い表情で淡々とカードを使用していく。南はもう基に打つ手が無いためただ悪あがきをしているのだと思い込んでいた。
「くははははは!そんなカエル達を墓地に送ったところでどうなると…」
「墓地の《黄泉ガエル》の効果。《黄泉ガエル》を特殊召喚。」
「おい、聞いてるのか!?」
基は南の言葉を無視してカードを使っていく。まるで、心が無い人形のようであった。
吉井たちは基の姿を見て不安に思うが、それは基が敗北するかもしれないというものからではなかった。
大庭 基という人間が人間で無くなっていくような、そんな不安な感情が込み上げてくるのだ。
「大庭…。」
特に見城は特別な感情を抱き基の苗字を呟いていた。(恋愛感情ではないことは確かである。)

「《魔知ガエル》を召喚。墓地の《裏ガエル》をゲームから除外して《粋カエル》を墓地から特殊召喚…。」
「またエクシーズ召喚狙いか。でも、壁を作ったところですぐに貫通ダメージを与えてTHE ENDだよ!」
「いいえ、このターンで終わります。僕の勝ちによって…。」
「はぁ…?」
基がこのターンで決着をつけるどこか、勝利宣言を行ったことに南は耳を疑った。
場に残っているのは貧弱なカエルのモンスター3体。攻撃力6000を誇る『CHIKUSHO−DO』の前では無に等しかった。

「うえ…?」
今度は南は自分の目を疑うことになった。
基から青白い炎のような淡いオーラが滲み出ている姿が南の目に映っているからだ。
「こ、これは…。」
「大庭さんにいったいなにが…。」
「こ、こんな能力、私は知らない…!」
「感じる。とても、哀しい気持ちが…。」
吉井たちは口を揃えて戸惑うが、見城は基の纏うものが哀しみの感情であることに気がついてた。

「《魔知ガエル》、《粋カエル》、《黄泉ガエル》の3体でオーバーレイネットワークを構築!」
「ば、馬鹿な!?《魔知ガエル》と《粋カエル》の2体ならまだしもレベルの異なる《黄泉ガエル》でエクシーズ召喚だと!?」
3体のカエル達は基の纏うオーラと同じ色の青白い炎へと変化し、フィールドに出現した宇宙空間へと突入する。
そして、爆発が起き、その中から1体のモンスターが出現した。
「哀しみの渦の中から今こそ解き放たれよ、《水聖霊−メイルシュトロム・クレイオー》!」

「こ、これが大庭の切り札!?」
「で、でもなんで!?」
「『メイルシュトロム・クレイオー』のランクは10。素材の条件もレベル10のモンスターを必要とするはずなのに…!」
「これは、大庭の能力…。これが、大庭の本当の能力…。」
見城は虚空を見つめるかのように呟く。まるでそれを昔から知っているかのように、物語を語るかのように呟く。

「「《水聖霊−メイルシュトロム・クレイオー》のヴァンガード能力。自分のターンに1度、手札、フィールド上のカードをエクシーズ素材として能力を使用した回数以下のエクシーズモンスターをエクシーズ召喚することができる。」」
基と見城は示し合わせたかのように能力の説明をする。二人とも心がこことは別の世界にあるのではないかと思うくらい異質な感じを放っていた。


ランクB 哀涙大渦巻(ティアーメイルストロム)
1ターンに1度、自分の手札を任意の枚数デッキに加えてシャッフルする。その後、デッキに加えた枚数分のカードをドローする。この能力は相手ターンにも使用できる。
また、自分のターンに1度、自分の手札・フィールド上のカードを任意の枚数エクシーズ召喚したモンスターの下に重ねてエクシーズ素材として、能力を使用した回数以下の数値のランクを持つエクシーズモンスターをエクシーズ召喚することができる。この方法でエクシーズ召喚に成功した時、魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。


「『メイルシュトローム・クレイオー』の効果。エクシーズ素材を3つ取り除くことで相手は自身のフィールド上のカードを全て戻す。」


水聖霊(アクアスピリット)−メイルシュトロム・クレイオー ランク10 水属性・海竜族・エクシーズ
ATK4000 DEF4000 水属性レベル10モンスター×3
このカードの効果は無効化されず、相手のデュエリスト能力を受けない。1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカードのエクシーズ素材を3つ取り除く事で、相手は相手自身のフィールド上のカードを全て手札に戻す。
●???


『メイルシュトロム・クレイオー』の効果によって南の場に噴水が起こり、それに耐え切れず『CHIKUSHO−DO』はエクストラデッキに戻ってしまう。

「そ、そんな…!?」
「『メイルシュトロム・クレイオー』で南先輩にダイレクトアタック…!!」


《水聖霊−メイルシュトロム・クレイオー》ATK4000→(直接攻撃)

南 真吾 LP2550→LP0


『メイルシュトロム・クレイオー』が発生させた竜巻に飲まれ南のライフは尽き、気を失ってしまった。
「大庭さんが、勝った…?」
吉井たちは目の前の光景を素直に受け入れられず、信じられないと思っていた。
今まで色々な能力を目にしてきた吉井たちであったが、基の持つそれは根本的に何かが違うと感じさせられたからだ。

「あ、あれ…?」
「見城さん…?」
見城はいつの間にかデュエルの決着が着いていたことに驚いていた。ここ数分の記憶が無いようだった。

「ま、まあ、何はともあれ、大庭のおかげで南先輩を倒すことが出来たわね。」
朝比奈は気を取り直して懐から携帯を取り出し、佐野に連絡しようとする。

バタン…

だが、その瞬間、基は力尽き、倒れてしまった。
「「「「大庭(さん、君)!!」」」」
吉井たちは急いで駆け寄ろうとすると、するとそこに一人の黒い修道服を着た女性が現れ邪魔をする。
「へーい、君たち。ここはウチに任せな!」
「「「「お、お前は!?」」」」

第六話終わり
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