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偽りの名 呵々闘諍の日記(力水の書いたやつ) 決闘時空まとめページ
2013-06-08(土)
決闘時空(デュエルスペース)第七話 Part3

決闘時空 第百十五話「いつ者」Cパート
(1ターン目)
会沢 さゆり:LP8000、手札4
場:《コアキメイル・ウォール》(ATK1900)
場:伏せ×1

シスター霧恵:LP8000、手札5
場:
場:


「ウチのターン、ドロー!(手札5→6)」
霧恵はドローしたカードを見て考える。霧恵のデッキはモンスターを魔法カードや罠カードで強化して攻めていくタイプのデッキである。
そのため、モンスター単体の性能はそこまで高くなく、魔法や罠を制限されて苦しい状況になっていた。
「魔法が使えないなら、モンスターで攻撃していくしかない!ウチは《アームド・ドラゴンLV3》を召喚するよ。(手札6→5)さらに魔法カード《レベルアップ!》を発動!(手札5→4)…!?」


シスター霧恵 LP8000→LP7000


霧恵が《レベルアップ!》を発動すると、ライフポイントが1000ポイント減少していた。
「ふっふっふっふ、これが私がお前に与えたデュエリスト能力、“不当な重税(コストランページ)”!」


不当な重税(コストランページ)レベル−2能力
自分は魔法、罠カードを発動する場合、ライフを1000ポイント払わなければならない。また、ライフが1000ポイント未満で発動する場合、ライフポイントは0になる。


「ぐ、魔法と罠にコストを加える能力っ…!」
「とはいえ、効果を無効にするわけではない。なので《コアキメイル・ウォール》をリリースして、《レベルアップ!》の発動は無効にする!」
会沢の場に居た手足の生えた壁のモンスターが消え、霧恵の《レベルアップ!》が妨害されてしまった。
ライフを消費させられ、思うような展開に持っていけず調子が狂う霧恵。
だが、残ったモンスターは霧恵の『LV3』だけであり、この機会を逃しはしないと霧恵は攻めようとする。
「じゃあ《アームド・ドラゴンLV3》で会沢先輩にダイレクトアタックするよ!」
「罠発動、《岩投げアタック》!」
「罠カード!!それなら、喜風讃歌で効果を無効にするよ!」
今度は霧恵がデュエリスト能力によって会沢の発動した《岩投げアタック》を無効にした。
だが、霧恵と同じように無効にされたにも関わらず、対照的に会沢は不適な笑みを浮かべていた。


《アームド・ドラゴンLV3》ATK1200→直接攻撃

会沢 さゆり LP8000→LP6800


「よし、ダメージが入った!ウチはカードを2枚伏せてターン終了だよ!(手札4→2)」


(2ターン目)
会沢 さゆり:LP6800、手札4
場:
場:

シスター霧恵:LP7000、手札2
場: 《アームド・ドラゴンLV3》(ATK1200)
場:伏せ×2



「私のターン、ドロー!(手札4→5)私は手札の地属性モンスター《コアキメイル・サンドマン》と《地征竜レドックス》を墓地に送ることで、『レドックス』の効果発動!(手札5→3)墓地に眠る《コアキメイル・サンドマン》を特殊召喚!」
「ぐ!これじゃ罠がうかつに使えないよ!」
会沢が新たに出したモンスターにより今度は罠カードを封じるモンスターであった。
再びライフを減らされた上で無力化されるのを恐れて霧恵は焦っていた。
「さらに《ブロック・ゴーレム》を召喚。(手札3→2)《ブロック・ゴーレム》をリリースして、効果発動。墓地に居る2体の《コアキメイル・ウォール》を復活させる!」
「なんでっ!?どうして《コアキメイル・ウォール》が2体も墓地に!?」
霧恵は困惑する。会沢が召喚した『ウォール』は1体だけのはずだが、いつの間にか墓地に2体目が落ちていた。
「それは《岩投げアタック》のコストで墓地に送っていたからだ!」
「そうか、《岩投げアタック》はダメージを与えるのは効果だけど、岩石族モンスターを墓地に送るのはコスト!!」
霧恵の能力は効果だけに影響及ぼす。そのため、《岩投げアタック》の発動コストである墓地に送る行為までは封じることが出来ないのだ。
「バトル、『サンドマン』で『アームド・ドラゴン』に攻撃!」


《コアキメイル・サンドマン》ATK1900→《アームド・ドラゴンLV3》ATK1200

《アームド・ドラゴンLV3》(破壊)

シスター霧恵 LP7000→LP6300


(ごめん、『アームド・ドラゴン』…。)
霧恵は『サンドマン』によって破壊された『アームド・ドラゴン』を想い、心の中で謝る。
霧恵には今の攻撃を防ぐ術があったが、他2体の攻撃を考えた場合、どうしても『アームド・ドラゴン』は破壊されてしまうのだ。

「次は2体の『ウォール』でダイレクトアタックだ!」
会沢は霧恵のライフとモンスターを減らしたことに勢いづいたのか、間髪いれず攻めていく。
だが、2体の壁型のモンスターが霧恵を襲うとした瞬間、巨大なゲーム機のコントローラーが出現し、道を塞ぐ。


シスター霧恵 LP6300→LP5300


「速攻魔法、《エネミー・コントローラー》だよ!コマンド入力をすることで相手モンスターの表示形式を変更する!さらにデュエリスト能力で効果をもう一度適応する!コマンド入力!下、右下、右、B!右、右下、下、B!」
霧恵がコマンド入力を唱えるとコントローラーから2種類の異なったエネルギー弾が発射され、2体の『ウォール』は防御体制をとり、攻撃を中止した。

「ち、魔法カードを伏せていたか。罠カードなら『サンドマン』で防げていたのに…。」
《ブロック・ゴーレム》の効果で蘇生させたモンスターはそのターンにフィールド上で効果を発動できないため、『ウォール』の効果を使用できなかった。
会沢は霧恵の伏せていたカードを罠カードであると読んで『レドックス』の効果で『サンドマン』を蘇生させていたのだが、その読みは外れてしまった。
「バトルを終了してエンドフェイズに移行。手札の《コアキメイル・ガーディアン》を見せて3体のモンスターを維持してターン終了。」


(3ターン目)
会沢 さゆり:LP6800、手札2
場:《コアキメイル・サンドマン》(ATK1900)、《コアキメイル・ウォール》(DEF1200)、《コアキメイル・ウォール》(DEF1200)
場:

シスター霧恵:LP5300、手札2
場:
場:伏せ×1



「ウチのターン、ドロー!(手札2→3)」
何とか攻撃を凌いだものの、ライフとカードの消費が大きく、霧恵は着実に追い詰められていた。
だが、我らが霧恵はここでへこたれる様な人間ではなかった。
(こんな状況ウチらは何度も切り抜けてきた。今回だって切り抜けるはず!)
霧恵の脳裏に浮かんでいたのは見城、吉井、天神、佐野、朝比奈といった生徒会のメンバー、それに今まで闘ってきたライバルと呼べるデュエリスト達の姿であった。

「ウチは《輪廻天狗》を召喚!(手札3→2)」


《輪廻天狗》ATK1700


「わざわざ攻撃表示で召喚してくるとは。こちらの『ウォール』の戦闘破壊が狙いだろうけど、1体ぐらい破壊されたところでどうとういうことはない!」
「なら、もう1体も破壊するまでだよ!会沢先輩の場に同じ属性のモンスターが2体以上いることでこのカードは手札から特殊召喚できる!《神禽王アレクトール》を特殊召喚!」


《神禽王アレクトール》ATK2400


「ちっ。展開できるモンスターを手札に持っていたのか。」
「バトル!2体のモンスターで『ウォール』たちに攻撃!」


《輪廻天狗》ATK1700→《コアキメイル・ウォール》DEF1200

《コアキメイル・ウォール》(破壊)

《神禽王アレクトール》ATK2400→《コアキメイル・ウォール》DEF1200

《コアキメイル・ウォール》(破壊)


「むっ!せっかく展開した2体の『ウォール』を…!」
「今だ!メインフェイズ2にライフを1000払って魔法カード発動!(手札2→1)」


シスター霧恵 LP5300→LP4300


2体の魔法を遮る壁を破壊した霧恵はすかさず魔法カードを使用し、形成を立て直そうとする。
「《烏合の行進》!ウチの場にいる獣族、獣戦士族、鳥獣族モンスター1種類につき1枚ドローするよ!ウチの場には獣戦士族モンスターの《輪廻天狗》、鳥獣族モンスターの《神禽王アレクトール》がいるから2枚ドローできる。さらに、デュエリスト能力でもう一度効果を適応して追加で2枚ドローするよ!(手札1→3→5)」
一気に手札を回復した霧恵であったが、ライフポイントが半分近く減っており、ドローしたカードを見て魔法・罠カードを慎重に使っていこうと心に留める。
「ウチはカードを2枚セットしてターン終了だよ。(手札5→3)」


(4ターン目)
会沢 さゆり:LP6800、手札2
場:《コアキメイル・サンドマン》(ATK1900)
場:

シスター霧恵:LP4300、手札3
場: 《輪廻天狗》(ATK1700)、《神禽王アレクトール》(ATK2400)
場:伏せ×3



「私のターン、ドロー。(手札2→3)ふ、もうこのカードが来たか。」
会沢はドローしたカードを見て自嘲気味に笑みをこぼした。
「私は墓地にいる《コアキメイル・ウォール》と《ブロック・ゴーレム》をゲームから除外し、《地征竜レドックス》を自身の効果で復活させる!」


《地征竜レドックス》(DEF3000)


「守備力3000。時間を稼ぐつもり!?」
フィールドに巨大な岩肌のドラゴンが出現し、その巨体がプレッシャーを与えてくる。
守備表示であるが、3000ポイントの数値は低くなく、この壁をどう攻略すべきかと霧恵は考え始める。
だが、召喚した当人は別の目的があり、思考中の霧恵を嘲笑っていた。

「私の目的はこいつの守りではない!」
「何っ!?」
「私は『レドックス』と『サンドマン』をリリースし、《DT(ダークチューナー)−ペイン・シーカー》をアドバンス召喚!(手札3→2)」
岩のような巨大なドラゴンと砂の巨人が消えると、その場にはチェーンソーを持った血まみれの人間型のモンスターが出現した。



DT(ダークチューナー)−ペイン・シーカー レベル11 闇属性・戦士族・ダークチューナー
ATK3500 DEF0
???



「ダークチューナー…!!でも、チューナー以外のモンスターがいないからダークシンクロは出来ないよ!」
「甘い!モンスターの召喚に成功したことにより、手札から《ワンショット・ブースター》を特殊召喚!(手札2→1)」
「しまった!」
会沢の場にダークチューナーと非チューナーモンスターが揃ってしまい、ダークシンクロモンスターの召喚のための準備が整ってしまった。
「さあ、この場に君臨するがいい!レベル1の《ワンショット・ブースター》にレベル11の『ペイン・シーカー』をダークチューニング!」
今までのダークチューニングと同様に黒い星々がフィールドを飛び交い、邪悪な雰囲気を醸し出す。
そして、星の輪の中心からヘドロのような液体が流れ出す。
「悲痛なる力よ、今、邪な力を借りて現界せよ!」





一方その頃、バラバラにされた吉井たちは会沢の繰り出したダークシンクロの悪の波動のようなものを感じ取っていた。
「…っ!!この嫌な感じは!?霧恵さんが危ない!」
吉井は相手の遅延コンボの弱点を導き出し、それを崩すカードをドロー出来るように手に力を込めた。
「僕のターン、ドロー!来た!僕は今ドローしたカードをセット。続いて、《メタモルポット》を反転召喚!これにより、互いに手札を全て捨てて5枚ドロー!さらに、前のターンに伏せていた《月の書》を発動して、《メタモルポット》をセット状態に。墓地の《ADチェンジャー》をゲームから除外、《メタモルポット》を再びリバース!」
吉井の連続リバースコンボにより対戦相手のデッキは減っていく。
「これで、終わりだ!《手札抹殺》!」
対戦相手はデッキが無くなり、カードをドローすることが出来ず敗北する。そして、憑き物が落ちたかのように倒れた。
「すみません、急いでいるんで!」
普段の吉井なら倒れた相手を介抱するのだが、霧恵に迫る危機にそれどころではないと急いで彼女の元へと向かって行った。

他の場所にいる見城、天神も同様にこの場を切り抜けようと一気に攻勢に出ていた。
「カウンター罠、発動!《封魔の呪印》!手札の《おジャマジック》を捨てて、《リソース・リバース》を無効!これでもう防御カードは回収出来ないぜ!」
《リソース・リバース》による無限に思える防御カードの回収を見城は封じる。それに動揺したのか、対戦相手の手が止まり見城にターンが回った。
「《おジャマ・カントリー》で強化された『おジャマ』たちで止めだ!!」
5体の『おジャマモンスター』の攻撃によって対戦相手のライフポイントは0となり、勝負が決まる。
見城もデュエルが終わったと同時に霧恵のいる方へと駆け出した。

「《ゼロ・ガードナー》をリリースして、このターンの戦闘ダメージを0にする…。」
「させない!手札から《朱光の宣告者》と天使族モンスター《堕天使スペルビア》を捨てて、《朱光の宣告者》の効果発動。《ゼロ・ガードナー》の効果を無効に!」
天神は相手のヴァンガード能力によってレベルがマイナスとなっており、普段と違って壁モンスターを用意されていたが、彼女は確実に除去していき、追い詰めていた。
そして今、その最後の壁が破られた。
「《アテナ》の効果を発動。《コーリング・ノヴァ》をリリースして墓地にいる《堕天使スペルビア》を特殊召喚。《アテナ》の効果で600ポイントのダメージを与え、さらに『スペルビア』の効果で墓地にいる《The splendid Venus》を蘇生してさらに600ポイントのダメージ!3体の天使たちでダイレクトアタック!」
天神の天使たちの攻撃により、対戦相手は撃破される。天神もまた、勝利したあとにダークシンクロの波動が感じられる霧恵のいる場所へと赴く。





「見よ、これこそ私の切り札、《六道神 NINGEN−DO》!!


《六道神 NINGEN−DO》(ATK4000)


会沢の場に巨大なモンスターが聳え立つ。
それは赤い甲冑を身に纏った初老の男性の武者モンスターであった。右手には自身の大きさと同じくらいの長さの刀を携えており、よくよく見ると甲冑の元の色は黒であり、赤い色はおそらく返り血によるものであると推測できる。
「これが会沢先輩のダークシンクロモンスター…!すごい殺気を感じる!」
「さて、早速だけど、このデュエル、終わらさせてもらおうか。『NINGEN−DO』の効果!相手フィールド上のカード1枚につき攻撃力を800ポイントアップする!お前の場にあるカードは5枚、よって、4000ポイント攻撃力が上昇する!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK4000→ATK8000


「攻撃力、8000!!」
「まだまだぁ!『NINGEN−DO』のもう一つの効果!自分の墓地のモンスター2体をそれぞれ自分と相手フィールド上に守備表示で1体ずつ特殊召喚し、カードを1枚ドローする!(手札1→2)私は自分の墓地から《コアキメイル・サンドマン》を自分の場に、お前の場に《DT−ペイン・シーカー》を特殊召喚!」
会沢の場に『サンドマン』が、霧恵の場に『ペイン・シーカー』が出現する。
全身血まみれの『ペイン・シーカー』は霧恵の方を向くとゲラゲラと下品な笑いをし、霧恵を不快な気持ちにさせる。
「バトルだ!『NINGEN−DO』で《神禽王アレクトール》に攻撃!」
『アレクトール』に向かって『NINGEN−DO』はその巨大な刀を振り下ろす。この攻撃を受ければ霧恵は敗北するが、そうはさせまいとリバースカードを発動する。
「ライフを1000ポイント払って、罠カード《生命力吸収魔術》を発動!場にいる効果モンスター1体につきライフを400ポイント回復するよ!」


シスター霧恵 LP4300→LP3300


「無駄だ!『サンドマン』をリリースして《生命力吸収魔術》の発動と効果を無効にする!」
霧恵が回復しようとしたところをすかさず会沢は妨害しに行く。
だが、霧恵は逆にこの状況になるとわかっていたのか、すかさず返す。
「この瞬間を待っていたよ!」
「なんだと!?」
「ライフを1000払ってダメージステップに罠カード《援護射撃》を発動!『NINGEN−DO』の攻撃力アップは永続効果。《生命力吸収魔術》と《援護射撃》が墓地に送られることによって攻撃力は6400にまで下がるよ!」


シスター霧恵 LP3300→LP2300


「無駄だ、《援護射撃》の効果を二回適応して《輪廻天狗》と《神禽王アレクトール》の攻撃力を足しても5800止まり。このまま押しつぶす!」
「誰が『アレクトール』に《輪廻天狗》の攻撃力を足すって?」
霧恵は自分のデュエルディスクにある1枚のカードを右手の人差し指で示す。
「あ…あー!?」
会沢は間抜けな声を上げる。
そう、霧恵が《援護射撃》の対象に選んだのは《輪廻天狗》ではなく、会沢が呼び出した《DT−ペイン・シーカー》であった。
「『ペイン・シーカー』の攻撃力は3500。デュエリスト能力でもう1度効果を適応して『アレクトール』の合計攻撃力は9400だ!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK8000→ATK6400

《神禽王アレクトール》ATK2400→ATK5900→ATK9400


振り下ろされる『NINGEN−DO』の刀を『ペイン・シーカー』はケタケタと笑いながらチェーンソーではじき返す。その隙を突いて『アレクトール』が拳に力をこめて『NINGEN−DO』目掛けて上昇する。
『アレクトール』の拳は『NINGEN−DO』の顔面に入り、衝撃で爆発が起きる。


《六道神 NINGEN−DO》ATK6400→《神禽王アレクトール》ATK9400

会沢 さゆり LP6800→LP3800


霧恵のカウンターによりライフが削れる会沢であったが、持ちこたえていた。
そして、それは『NINGEN−DO』も同様であった…。

「ぐ、やってくれたな!」
「なっ…!?『NINGEN−DO』がまだいる!?」
「『NINEGN−DO』は1ターンに1度、戦闘では破壊されない!無駄な足掻きだったな!」



六道神 NINGEN−DO レベル−10 闇属性・天使族・ダークシンクロ
ATK4000 DEF4000
チューナー以外のモンスター1体−ダークチューナー
このカードを特殊召喚するためには、自分フィールド上に存在する「DT(ダークチューナー)」と名のついたチューナーのレベルをそれ以外の自分フィールド上に存在するモンスター1体のレベルから引き、その数字がこのカードのレベルと等しくなければならない。
このカードのシンクロ召喚は無効化されない。このカードのシンクロ召喚成功時、及び、効果の発動時に相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動はできない。
このカードがフィールドから離れたターンのエンドフェイズ時にこのカードを特殊召喚する。このカードの攻撃力は相手フィールド上のカードの数×800ポイントアップする。また、1ターンに1度戦闘では破壊されない。
自分のターンのメインフェイズ1時に自分の墓地のモンスターを2体選び、自分と相手のフィールド上にそれぞれ1体ずつ守備表示で特殊召喚することができる。その後、自分はカードを1枚ドローする。
V(ヴァンガード)能力:このカードを所持しているプレイヤーがこのカードをVにしているとき、対象のプレイヤーはデュエリスト能力「レベル−2 不当な重税」を得る。(Vにできるカードは1人につき1枚まで。また、レベル−のデュエリスト能力を元々レベル+のデュエリスト能力を持つプレイヤーに対して使用した場合、その能力に上書きするか追加するかを選べる。)


「だが、私の攻撃を跳ね除けたことは褒めてやろう。それに敬意を示して特別プレゼントだ!私はこのままエンドフェイズに移行。この瞬間、特殊召喚した『ペイン・シーカー』の効果発動!自身は破壊され、そのコントローラーに2000ポイントのダメージを与える!!」
「むっ!!」


DT(ダークチューナー)−ペイン・シーカー レベル11 闇属性・戦士族・ダークチューナー
ATK3500 DEF0
特殊召喚されたこのカードは攻撃することができず、特殊召喚されたターンのエンドフェイズに破壊され、コントローラーは2000ポイントのダメージを受ける。
このカードは直接攻撃することができない。


『ペイン・シーカー』は笑いながら爆発を起こし、その爆発によってチェーンソーの刃が飛び散り霧恵を襲った。
「うわああああああああ!!」


シスター霧恵 LP2300→LP300


霧恵は爆発と刃によりダメージを受け吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「うう…。」
ライフをほとんど失い、霧恵は弱気になっていた。
普段ならいつものメンバーである見城や吉井、天神がすぐ側で応援してくれるのだが、今は居ない。
デュエル中、心の底では独りでも頑張らなくてはと意気込んでいたのだが、今のダメージで肉体よりも精神的に追い込まれてしまっていた。

(5ターン目)
会沢 さゆり:LP3800、手札2
場:《六道神 NINGEN−DO》(ATK6400)
場:

シスター霧恵:LP300、手札3
場: 《輪廻天狗》(ATK1700)、《神禽王アレクトール》(ATK2400)
場:伏せ×1


「ふっふっふっふ、もう立つ気力も湧かないか。このままサレンダーして楽になったらどうだ?」
サレンダー、それを聞いて霧恵はそうしようかと迷ってしまった。
ここで自分が倒されても見城たちがなんとかしてくれる、そう思ったらこれ以上傷つくのは無駄な気がしてきてしょうがなかった。
霧恵はそっとデッキの上に手を伸ばそうとすると…

「立て、霧恵ー!!」
諦めかけたその瞬間、霧恵は自分の名前を呼ぶ声に背中を押された。
「霧恵さん、立ってください!」
「負けないで!」
霧恵はうつ伏せの状態で首を後ろのほうにやる。そこには、見城、吉井、天神らいつもの3人が居た。
「みんな…うん!」
霧恵はデッキに手を伸ばす。しかし、それは先ほどのような弱気に満ちたものではなく、自信に満ちたものであった。
「ウチの、ターン!!(手札3→4)」
霧恵はカードをドローすると同時に、両膝で地面を蹴り上げ軽く飛翔し、地面に足を着ける。
「ち、あともう少しだったのに!!」
「みんな、ありがとう!」
霧恵は諦めかけていた自分はなんて馬鹿なことを考えていたのだろうと自分を責めたが、その気持ちよりもいつもの3人に応えよう、会沢を救おうという気持ちの方が勝っていた。
「ウチは《グラナドラ》を召喚するよ!(手札4→3)グラナドラの召喚した時の効果によってライフを1000ポイント回復!」


シスター霧恵 LP300→LP1300


「だがこの瞬間、モンスターが増えたことにより『NINGEN−DO』の攻撃力はアップする!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK6400→ATK7200


「ライフが回復したことによりコストが払える!ライフを1000ポイント払って《受け継がれる力》を発動!(手札3→2)《グラナドラ》を墓地に送って『アレクトール』の攻撃力を1900ポイントアップ!デュエリスト能力を使用して、今度は《輪廻天狗》を墓地に送って攻撃力を1700ポイントアップ!さらに、《輪廻天狗》がフィールド上から墓地に送られたとき、デッキから《輪廻天狗》を特殊召喚することができるよ!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK7200→ATK6400

《神禽王アレクトール》ATK2400→ATK4300→ATK6000


「うまい、さすが霧恵さんだ!《グラナドラ》の破壊されたときのデメリットを回避するために墓地送りにした!」
「しかも、《輪廻天狗》をリクルートして後続の準備もばっちりだ!」
吉井と見城は霧恵のコンボに感心し、霧恵を景気づける。
「会沢先輩が相手だなんて…。霧恵さん、会沢先輩を正気に戻して!」
天神は霧恵の対戦相手である会沢であることに気づき心配するが、霧恵に全てを託すことにした。
「うん!ウチは『アレクトール』の効果を発動!『NINGEN−DO』の効果を無効にするよ!」
「うぐ…!貴様ー!!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK6400→ATK4000


『アレクトール』は翼で風を起こすと、鮮やかな緑色の明るい風が『NNINGEN−DO』を包み込む。
暖かな風に触れて『NINGEN−DO』の邪気が削がれ、攻撃力が元に戻った。

「これで戦闘破壊を無効にできた!いくよ、会沢先輩!」
「「「いけー、霧恵(さん)ー!!」」」
再び『アレクトール』は『NINGEN−DO』に向かって拳を振るう。しかしそれは先程とは違い、勢いを取り戻した霧恵に呼応するかのごとく力が篭っており、深緑の風に包まれ、輝いていた。
「《神禽王アレクトール》で《六道神 NINGEN−DO》を攻撃!」



《神禽王アレクトール》ATK6000→《六道神 NINGEN−DO》ATK4000



『アレクトール』はその拳で『NINGEN−DO』を貫く。今度はしっかりと手応えがあり、『NINGEN−DO』は破壊され、爆発した。


《六道神 NINGEN−DO》(破壊)

会沢 さゆり LP3800→LP1800


「ぐおおおおお!き、貴様ぁああああああ!!」
『NINGEN−DO』が破壊され、会沢は怒りにうち伏しがれる。そこに霧恵は間髪いれず攻撃をする。
「《輪廻天狗》でダイレクトアタック!」


《輪廻天狗》ATK1700→(直接攻撃)


「させるかぁ!手札から《バトルフェーダー》を特殊召喚してバトルを中止させる!(手札2→1
)」
霧恵の好機であったが、会沢はそれを防ぐ。それを見て、見城たちは「「「おしい!」」」と言い放った。
「ウチは、メインフェイズ2にカードを1枚伏せるよ。(手札2→1)これでターンを終了!」
「まだだ!エンドフェイズ、『NINGEN−DO』は復活する!」
地面に暗い闇の空間が広がり、そこから『NINGEN−DO』が復活する。再び対峙することになったが、霧恵は臆してはいなかった。


(6ターン目)
会沢 さゆり:LP1800、手札1
場:《六道神 NINGEN−DO》(ATK7200)、《バトルフェーダー》(DEF0)
場:

シスター霧恵:LP300、手札1
場: 《輪廻天狗》(ATK1700)、《神禽王アレクトール》(ATK2400)
場:伏せ×2



「私のターン、ドロー!(手札1→2)『NINGEN−DO』の効果発動!墓地の《コアキメイル・サンドマン》を私の場に、『ペイン・シーカー』を貴様の場に特殊召喚し、1枚ドロー!(手札2→3)《コアキメイル・ガーディアン》も召喚だ!(3→2)」
会沢の場にモンスターが展開される。これにより霧恵はモンスター効果と罠の使用を制限されてしまった。
「そして、このカードを使う!!」
「…っ!!なにか、来る…!!」
霧恵は感じ取っていた、会沢の持つ1枚のカードから放たれる禍々しい感情を。
続いて天神も感じ取っていた。それにはかつての記憶、自分とは相反するものが宿っているということに気づかされた。
「まさか、あれは…!?」
「そ、そんな!?」
「嘘、だろ!?」
「永続魔法《外道法−六道神の進化》を発動!(2→1)」
会沢の使用したカードから放たれたそれの正体はかつてリンネが使っていたもの、人間たちの負の感情である“黒い霧”であった。
「デュエリスト能力、発動!そのカードの効果を無効にするよ!」
霧恵のデュエリスト能力により風が巻き起こり、『外道法』を無効にしようとするが、黒い霧がそれを遮ってしまった。
「効かん!『外道法』の持つ性質はデュエリスト能力をも遮断する!」


外道法−六道神の進化 永続魔法
このカードの発動と効果は無効化されず、デュエリスト能力も受けない。
このカードは他のカードの効果を受けず、自分のフィールドから離れない。
自分の「六道神」と名のついたモンスターはそのカードの効果とこのカードの効果以外の効果、相手のデュエリスト能力を受けず、相手は攻撃対象以外で自分の「六道神」と名のついたモンスターを選ぶことができなくなる。また、自分の「六道神」と名のついたモンスターは以下の効果を得る。
●自分フィールド上のモンスター1体をリリースすることで攻撃力を倍にする。この効果は相手ターンでも発動することができる。


『外道法』の影響を受け、『NINGEN−DO』は鬼のような形相になり、身に着けていた甲冑も無数の刃が形成され、他を一切寄せ付けない風格を放っていた。
「『外道法』の効果を発動!《バトルフェーダー》をリリースして『NINGENDO』の攻撃力を倍にする!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK7200→ATK14400


『NINGEN−DO』はさらに巨大化し、攻撃力を上昇させる。そのプレッシャーに押されながらも霧恵たちは立ち向かっていた。
「バトルだ!」
「この瞬間、ウチは手札を1枚捨てて、《レインボー・ライフ》を発動するよ!(手札1→0)」
「馬鹿め!ライフポイントが払えなければ“不当な重税”の能力から逃れられると思ったのだろうが、払えるライフが無い状態で発動すればライフは0になる!」
「こんなことって!?」
「霧恵が負ける!?」
「霧恵さん…。」
衝撃の事実を突きつけられ、吉井たちは落胆する。しかし、当の本人である霧恵はむしろ笑っていた。

そう、霧恵のライフが0になることは無かったからだ。
「馬鹿はそっちだよ!ヴァンガード能力を持つモンスターがフィールドに出された後、フィールドから離れた場合、エクストラデッキに戻らない限りその能力は無くなるんだよ!」
「なにぃ!?」
今度は会沢の方が衝撃を受けていた。使い慣れていないカードのせいか、能力を把握しきれていなかったのだ。
「霧恵さん、そんなことを知っていたなんて!」
「ったく、びっくりさせんなよ!」
「いつの間にそんな情報を!」
吉井たちはほっとしながらも、どうして霧恵がヴァンガード能力に詳しかったのか疑問に思っていた。
「それはね、基っちに聞いたからだよ。ウチもヴァンガード能力を持つカードを持ってるでしょ。それで二人でデュエルした時にアドバイスされたんだ。」
霧恵は笑顔で答える。霧恵は基と出会ってからヴァンガード能力についての詳細を聞いていたのだ。
「ならば、『サンドマン』で《レインボー・ライフ》の発動を無効にする!残念だったな、効果を使えなくて!」
「ううん、ウチの狙いはこっちだよ!今捨てた《おジャマジック》の効果発動!デッキから『おジャマモンスター』3体を手札に加えるよ。ここでデュエリスト能力を発動してもう3体加える!(手札0→3→6)」
0枚だった霧恵の手札は一気に6枚に増える。霧恵は最初から《レインボーライフ》の発動ではなく、《おジャマジック》を捨てることを狙っていたのだ。さらに、会沢の戦力である『サンドマン』を取り除くことも考えていたのである。
「だからどうした!手札に雑魚モンスターを抱えたところでこの状況はどうにもできない!」
「まだだよ!リバースカード、《リロード》を発動!手札を全てデッキに戻して戻した分、カードをドローする。デュエリスト能力でもう1回だ!(手札6→6→6)」
霧恵の手札は全て新しいものとなり、反撃の準備が整い、霧恵は笑みをこぼす。
「ウチの場から2枚のカードが無くなったことで『NINGEN−DO』の攻撃力は1600ポイントダウンするよ!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK14400→ATK12800


「攻撃力が下がろうが、関係ない!『NINGEN−DO』で『アレクトール』に攻撃!」
『NINGEN−DO』の持つ巨大な刀が振り下ろされる。この攻撃を受ければ霧恵は敗北するが、霧恵は果敢に防ぎに行く。
「手札から《ジェントルーパー》の効果発動!手札から特殊召喚して攻撃対象をこのモンスターに変更するよ!(手札6→5)」
「させるかぁ!『ガーディアン』をリリースして、《ジェントルーパー》の効果を無効にする!」
霧恵の手札から傘を持った紳士服を着たウーパールーパーが現れたが、『ガーディアン』のタックルにより、吹き飛ばされてしまった。
「今度こそ、終わりだ!」


《六道神 NINGEN−DO》ATK12800→《神禽王アレクトール》ATK2400

《神禽王アレクトール》(破壊)


『アレクトール』は『NINGEN−DO』の攻撃を受けて破壊され、爆発の衝撃が霧恵を襲う。
しかし、それを見守る3人、見城、吉井、天神は不安を感じていなかった。霧恵を信じていたからだ。
「ウチらは終わらないよ!」
「な、何故だ!?何故ライフが減らない!?」
会沢は恐れていた。何度攻撃しても立ち上がってくる霧恵のことを。それを支える3人のことを。
だからこそ、分断させた。それでも、霧恵たちは集まっていた。
「《クリボー》を捨てて戦闘ダメージを0にしたんだよ。(手札4)」
「ふざけたことを!メインフェイズ2だ!墓地の《ワンショット・ブースター》と《コアキメイル・ガーディアン》をゲームから除外して《地征竜レドックス》を守備表示で特殊召喚する!そして、エンドフェイズ、特殊召喚された『ペイン・シーカー』は破壊され、ダメージを与える!」
再び『ペイン・シーカー』が爆発を起こすが、それも霧恵はなんなく防ぐ。
「《ハネワタ》を捨てて、効果ダメージを0に!(手札4→3)」


(7ターン目)
会沢 さゆり:LP1800、手札1
場:《六道神 NINGEN−DO》(ATK12800)、《地征竜レドックス》(DEF3000)
場:《外道法−六道神の進化》

シスター霧恵:LP300、手札3
場: 《輪廻天狗》(ATK1700)
場:



「こ、こんなことが、ありえるのか!?」
会沢は完全に困惑していた。自分の尽くせる方法は全て試したが、全て通じなかった。
失意に陥っている会沢を見て霧恵はこのターンでデュエルを終わらせ、会沢を正気に戻さなければならないと使命感を感じていた。
「よし、霧恵にターンが回った!」
「霧恵さん、このターンで決着を!」
「お願い、会沢先輩を助けてあげて!」
「うん!」
霧恵は3人に力強く答える。そして、デッキに手を伸ばし…
「ウチの、ターン!(手札3→4)」
霧恵はドローしたカードを見て勝利を確信し、会沢に言葉を掛ける。
「会沢先輩、ウチらの力、見ててください!」
「…っ!!」
会沢は霧恵の呼びかけを聞いて、どこか心が揺らぎ、安らぐようだった。霧恵の呼びかけは憎しみや嘲笑といった負の感情が篭られているのではなく、ただ思いやりの感情が篭められていたからだ。
「ウチは《死者蘇生》を発動!(手札4→3)墓地に眠る《アームドドラゴンLV3》を復活させて、デュエリスト能力でもう1度効果を適応!《神禽王アレクトール》を復活させるよ!」
霧恵の墓地に眠っていたモンスターが目を覚ます。霧恵のモンスターたちは霧恵を見て頷く。
「ウチは《レベルアップ!》を発動して、『LV3』を『LV5』に!デュエリスト能力でもう一度適応して『LV5』を『LV7』にレベルアップさせるよ!(手札3→2)」
霧恵の小竜の『アームドドラゴン』は急成長し、黄色い体色が黒になり、鋼の鎧を纏っているような立派なドラゴンへと成る。
「魔法カード、《禁じられた聖杯》を『アレクトール』に対して発動!(手札2→1)これも能力で『LV7』にも適応するよ!」
一見すると意味の無い行動のように見えるが、吉井たちにはその意図が分かっており、吉井たちもまた、霧恵と同様に勝利を確信する。
「そして、“喜風讃歌(ゴスペルソング)”の真の能力発動!」
「真の、能力!?」
霧恵は目を瞑り、歌を口ずさみ始めた。その歌の言葉はどこの国の言葉かも分からないものであたが、聞くもの全ての者に平穏を与える温もりに溢れていたものであった。
歌に反応し、霧恵の墓地のカードが光だし、墓地から離れて宙を舞う。
「ウチがこのゲーム中に喜風讃歌の能力を使用した回数以下の数値のランクを持つエクシーズモンスターを墓地の魔法・罠カードでエクシーズ召喚できる!」
「あ、ああ…!」



ランクA 喜風讃歌(ゴスペルソング)
魔法・罠カードの効果を無効、またはもう1度適応することができる。その後、そのターン中この能力を受けた同名カードは発動することができず、効果も適応されない。この能力は1ターンに3回まで使用できる。
また、自分のターンに1度、自分の手札、墓地、ゲームから除外されている魔法・罠カードを任意の枚数エクシーズ素材とし、エクストラデッキから能力を使用した回数以下の数値のランクを持つエクシーズモンスター1体をエクシーズ召喚扱いとして特殊召喚する。この方法でエクシーズ召喚に成功した時、魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。



喜風讃歌の能力を受けたカードは会沢の《岩投げアタック》、霧恵の《エネミー・コントローラー》、《烏合の行進》、《援護射撃》、《受け継がれる力》、《おジャマジック》、《リロード》、《死者蘇生》、《レベルアップ!》、《禁じられた聖杯》の10枚、よってランク10のエクシーズモンスターをエクシーズ召喚することができるのである!

「ウチの墓地にある10枚の魔法・罠カードでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
霧恵の墓地から宙に待っていたカードは緑色の光となり、空へと昇っり、雲を超える。そして、雲から光が差し込み、地に大量の光を注いだ。
「喜びの風は神からの信託、《風聖霊(ウィンドスピリット)−ウェンティシルフィード》!!
眩い光を放つそれは翠緑の鎧からなる天使の翼を持つモンスターであった。見た目は無機質な鎧から成っているモンスターであったが、それを感じさせない神聖さがそこにはあった。


《風聖霊(ウィンドスピリット)−ウェンティシルフィード》(ATK4000)


「キタ!霧恵の切り札、『ウェンティシルフィード』!」
「霧恵さんがこのカードを出したデュエルで負けたことは無い!」
「霧恵さん、今よ!」
見城たちの声援に呼応したのであろうか、霧恵からは緑色のオーラが溢れ出していた。その力は会沢のフィールドにある『外道法』の黒い霧を掻き消すようであった。
「攻撃力4000のモンスターを召喚しようと、私の『NINGEN−DO』には遠く及ばない!」
「それは、どうかな?《風聖霊−ウェンティシルフィード》の効果発動!エクシーズ素材を1つ取り除くことでフィール上の魔法カードの同名となり、同じ効果を得る!ウチは《外道法−六道神の進化》を選ぶよ!」
「なにぃ!?しまった、『外道法』は効果を受けないだけで、『外道法』を選択することができる…!!」
《外道法−六道神の進化》で選択できなくなるのは効果を受けた「六道神」と名のついたモンスターであり、『外道法』自体を選ぶことは可能である。そのため霧恵は『ウェンティシルフィード』の効果で『外道法』を使用することができるのである。


《風聖霊(ウィンドスピリット)−ウェンティシルフィード》 ランク10 風属性・天使族・エクシーズ
ATK4000 DEF4000 風属性レベル10モンスター×5
このカードの効果は無効化さず、相手のデュエリスト能力を受けない。(この効果はフィールド上以外でも適応する。)
このカードがフィールド上に存在する限り、相手はモンスターを特殊召喚することができない。
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。墓地、フィールド、ゲームから除外されている魔法・罠カード1枚を選択する。このターン、このカードはそのカードと同名カードとしても扱い、選択したカードと同じ効果を得るか、効果を発動することができる。この効果は相手ターンにも発動することができる。
V(ヴァンガード)能力:このカードを所持しているプレイヤーがこのカードをVにしているとき、対象のプレイヤーはデュエリスト能力「ランクA 喜風讃歌」を得る。(Vにできるカードは1人につき1枚まで。)


『ウェンティシルフィード』の周りを飛び交うエクシーズ素材の1つが『ウェンティシルフィード』の右腕に入っていく。すると、そこから光の剣が形成される。
そして、『ウエェンティシルフィード』はその光の剣で『外道法』を貫き、その力だけを吸収した。
「ウチは『外道法』の効果を発動!場にいる『LV7』、『アレクトール』、《輪廻天狗》をリリースして、攻撃力をアップするよ!」


《風聖霊(ウィンドスピリット)−ウェンティシルフィード》ATK4000→ATK8000→ATK16000→ATK32000

《六道神 NINGEN−DO》ATK15200→ATK12800


『ウェンティシルフィード』は仲間たちから力を得、翼が6枚になる。対して、『NINGEN−DO』は霧恵の場のモンスターが減ったことによって力が弱まる。
「バトル、『ウェンティシルフィード』で『NINGEN−DO』に攻撃!!」
「げ、『外道法』の効果!『レドックス』をリリースして『NINGEN−DO』の攻撃力を倍にする!」


《風聖霊(ウィンドスピリット)−ウェンティシルフィード》ATK32000→《六道神 NINGEN−DO》ATK12800→ATK25600


『ウェンティシルフィード』は『NINGEN−DO』に向かって飛び掛る。咄嗟に会沢は『NINGEN−DO』の攻撃力を上昇させるが、焼け石に水だった。『NINGEN−DO』も負けじと刀で応戦するものの、『ウェンティシルフィード』の左手にも光の剣が発生し、刀を弾かれ、右手の剣で真っ二つに切り裂かれた。


《六道神 NINGEN−DO》(破壊)

会沢 さゆり LP2100→LP0


「うわぁあああああああ!!」
『NINGEN−DO』の破壊の爆発に巻き込まれ、会沢は軽く吹き飛ばされる。
かくして、霧恵は勝利を収めたのであった。




「んん〜、私は…。」
「よかった〜。みんな、会沢先輩が目を覚ましたよ!」
爆発により気絶していた会沢が目覚めると、目の前にいたのは霧恵だった。衝撃であちこち怪我をしていたようだが、霧恵が手当てしたのか、包帯やら絆創膏が張られていた。
「ん、ん?これはこれは勢ぞろいで。もう学園祭が始まったんだっけ?」
会沢の視界には霧恵、見城、吉井、天神、佐野、朝比奈と現生徒会と去年までの生徒会のメンバーが揃っていた。
「やっぱり、覚えてないようね。」
「俺たちは、学園で襲撃があったと連絡があったと聞かされて来たんですが…。」
霧恵たちが会沢たちと闘っている間、学園から佐野たちデュエリストフォースに応援を頼んでいたのだが、到着前に決着が着いていたのだ。
「悪いけど、一緒に来てもらいましょうか、会沢先輩。」
「ん〜、まだ記憶が混濁してるけど、みんなに迷惑をかけたみたい。」
会沢はうっすらとだが、自分が今までやってきたことを思い出してきた。ただ、彼女自身にとっては夢の中の出来事のようだが…。

「今回も大活躍だったな、お前たち。」
「流石、いつもの4人と言ったところね。」
「ああ、霧恵のおかげだな!」
「霧恵さんが会沢先輩に勝ってくれましたからね。」
「会沢先輩を助けてくれてありがとう、霧恵さん!」
佐野と朝比奈に褒められて、見城たちは霧恵のおかげだと持ち上げていたが、当の本人は浮かない顔だった。
「どうした、霧恵?」
見城が問いただすと霧恵は重い口を開く。
「実は、みんなに今まで隠してたことがあるんだ…。」
霧恵がそういうと一瞬、見城たちは戸惑う。だが、霧恵が話そうとしていることを受け止めようと、暖かく見守ることにした。
「霧恵、アタシたちは霧恵にどんなことがあっても霧恵の味方だ。だから、正直に話してくれ!」
「うん、ありがとう…。実は、ウチは…。」
霧恵は自分の金色の髪に手を伸ばし…
「みんな、ごめん!ウチの地毛は緑色だったんだよ!」
霧恵の金色の髪はウィッグであったのだ。霧恵の本来の髪の毛は鮮やかな新緑の色をしており、煌びやかであった。
「変だよね、シスターなのに緑色の髪の毛なんて…。」
シスターである霧恵は黒い修道服と自分の髪の毛の色が合わないものだと気にしており、ウィッグでごまかしていた。
これからもミ・イザナや敵たちとの闘いが激しくなると思うと、仲間である見城たちには隠し事は出来ないと、後ろめたさを捨てて告白したのだ。
「なんだ、そんなことだったのか。」
見城たちは笑顔で返事をした。それは、いつも見せてくれる仲間たちに向ける笑顔である。
「アタシは気にしないぜ。なあ?」
「僕もです!」
「私もよ!」
「いまさら見た目なんか気にしないわよ。」
「霧恵は霧恵だからな。」
みんなに認めらて霧恵は感極まり、霧恵も笑顔で返す。
「みんな、ありがとう!」
「それに、小説だと髪の色なんてわからないからな。挿絵もないし。」
見城のメタ発言に霧恵たちはどっと笑いをこみ上げる。
「あ、そうだ。今日は焼肉屋を予約してたんだよね。ウチのおごりだから遠慮しないで!」
「お、サンキュー!いぱい食べるぜ!」
「霧恵さんありがとうございます!」
「みんなで食事、楽しみね!」
「いいな〜。春彦、あたしたちも後で行こう。」
「仕事が終わってからな。」

こうして、霧恵たちは会沢を救い出し、みんなで焼肉屋に行って友情をさらに深めたのであった。
だがしかし、ミ・イザナやクリムゾン・ドラグーンなど強敵はまだ潜んでいる!
負けるな霧恵!負けるな翔武学園生徒会!いつもの4人の友情の力で世界を救え!


次回に続く!!


次回予告!!

基は夢の中で霧恵たち、いつもの4人がミ・イザナに襲われるのを見る。
基は急いで霧恵たちのところへ向かうが、なんと既にデュエルが始まっていた!
果たして、いつもの4人はミ・イザナに勝てるのか!?
「ウチらは、絶対負けない!」
次回、第百十六話 「霧恵大勝利!ダークシンクロ完全消滅!」にご期待ください!!
























……で、霧恵って誰?
「決闘時空(デュエルスペース)第七話 Part3」へのコメント

By アッキー
2013-06-09 00:16
ギョッとするヒットを小刻みに繰り返し・・・・・最後に「霧恵って誰?」
これは恐い。わかっていても、やはりギョッとします。
地味に重い税金を払いながら、よく戦っている霧恵さん。
思考の描写からしても悪人とは思えないのですが、例の検索結果は・・・。
“喜風讃歌”のテキストが明かされた今、デュエリスト能力封じはダークシンクロではないかという線が濃厚なわけで。

征竜が登場するたびに何だかニヤリとしてしまう私ですが、それで危うく六道神の存在を忘れかけるところでした。(←おい)
それは半ば冗談ですが、むしろ注目カードはペイン・シーカーでした。DTで攻撃力3500に少しギョッとしたり。
《ギブ&テイク》の対象としても面白いですし、【アメーバ】に入れても良さそうな・・・。そそられるカードです。
何気に名前も好きな感じだったりしますね。

例によってデュエリスト能力を凌駕する黒い霧。六道神も進化させるという。
デュエルだからダメージに関する効果でしたが、元は神様の力ですからね・・・。
人間道は、再生能力を持ってるくせに、戦闘破壊耐性。支え合って生きることへの皮肉にも見えますが、はてさて。
しかしV能力の意外な性質。Vカードを出すのは諸刃の剣かもしれません。
逆に考えれば、ダークシンクロにしろエクシーズにしろVカードの効果が強力なのも納得できますね。

金髪も緑髪もイケてる霧恵さんですが、まさかウィッグを外すと人格が代わるとか・・・?
ほのぼのシーンに見えて、実は重大なシーンだったりしますからね。(ロッカーの封印とか)
海馬も緑と茶で(この発言はKCの裁定で消滅しました)
pc
[編集]
By 千花 白龍
2013-06-09 11:01
ついにデュエルが決着!
ペイン・シーカーの攻撃力がやたらと高いと思ったらデメリット能力が…。攻撃も直接攻撃も出来ないって、これじゃあダークシンクロするしかないじゃないか。
外道法は神の進化の強化版ですね。
しかし、ゴスペルソングにエクシーズ召喚効果があったとは。だからリロードにも使ってたのか。

>……で、霧恵って誰?
霧恵さーん!何!?裏切り!?裏切りフラグなの!?洗脳系!?きっと何かの事情があって『以前からの仲間である感じ』で付き合う必要があったんだよ!そうだ、そう思っておこう。悪い人じゃなさそうだから。私、霧恵さんを信じてる!
pc
[編集]
By 呵々闘諍
2013-06-09 20:37
>アッキーさん
>例の検索結果について
どうしてアッキーさんが怖がっているのかなと自分も検索してみたところ、思っていたものとは別のものが…。
「シドニー・マンソン」や「いつもの4人」で検索してみてください(もしかして、これを検索して怖かったのかもしれませんが…)

>影の薄い六道神
やられっぱなしで微妙な『NINGEN−DO』でした。6体も神がいるとインパクトに欠けるのが難点。まあ、私自身も六道神はそこまで重要な存在にしようとは思っていませんので…(おい)
ペイン・シーカーは色々調整したカードですね。基本、攻撃力が高いけどデメリットがあるという種類のカードは好きなもので。
とはいえ、今の環境ではメリット持ちしか生き残れませんが…(泣)

>Vカード
Vカードはランクアップして強力になります!(そっちのVカードじゃない!!)
Vカードは作っておいて、「こいつらの弱点ってなんだろ?」って考えたときに「そうだ、デュエリスト能力の元ネタの擬似デッキマスター能力にしよう!」となり、隠れたデメリットを用意しました。
だいたいVカードをフィールドに出すときは他に出すカードが無い劣勢時なので、出さざるを得ないって状況になりますね。ですので、出すリスクより使うリターンの方が大きいです。

>霧恵の髪の毛
全然重要じゃないです(きっぱり)
あ、全然は言い過ぎかもしれません。ストーリーに関係ないだけで、記号としての役目はありますね。

霧恵「ウチは怖くないよ!」
基「まあ、元ネタのアニメを見たらむしろ笑える部類なんですがね…。」
霧恵「いつもの4人!」
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By 呵々闘諍
2013-06-09 20:48
>千花 白龍さん
>ペイン・シーカー
ペイン・シーカーが人気(?)のようで嬉しいです(笑)
通常召喚できて3000越えは流石にデメリットが無いと社長の嫁に失礼なので付けさせてもらいました。
実際のOCGにも【チューナー】というデッキが存在するので、ペイン・シーカーも専用デッキを組めばその攻撃力を活かせるかもしれませんね。今回はそういうデッキではなかったのでダメージ効果を利用しました。

>エクシーズ召喚能力
V能力のランクにはE〜A、Xなどがありますが、レベル4相当のBからはエクシーズ召喚が出来るようになる能力が付加されます。
今回のゴスペルソングはランクA、レベル5相当で、魔法・罠の効果の無効と再適応がありましたが、それだけでは実際のレベル5能力と比較すると若干弱めなので、エクシーズ召喚能力も付けてランクAという査定になりました。

>霧恵の正体
霧恵の正体はいずれわかります、いずれ。
とはいえ、悪人ではないことは確かと言っておきます。
ただし、迷惑な人なのかもしれません…。
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By アッキー
2013-06-10 06:51
なるほど、V能力の元ネタもこれだったのですね!
はい、検索結果で真っ先に、マンソン・ファミリーに辿り着いてました。
もうひとつ、マリリン・マンソンも目にして、シスターだけど実は反キリストなのかと思ってしまったり。
どちらも微妙に状況とか性質とかに掠っているという、巧妙な罠でした・・・。

色々と可能性を追求したくなるペイン・シーカーですが、なるほど、《イージーチューニング》や《チューナーズ・バリア》とも凄い好相性だと気付きました。
サイクロン・クリエイターの手札コストにしつつ、《悪夢再び》も大活躍の【ダークチューナー】始まった!?
ダークチューナーもチューナーとして扱えるかがテキスト上、ちょっと微妙なところですが。

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By 呵々闘諍
2013-06-10 23:49
>アッキーさん
>検索結果
誤解を生んでしまい、すみませんでした。
とはいえ、読者によっては、今回の話はホラーなのは確かですが…。

>ダークチューナーの裁定
コンマイに聞いてみましょう!

コンマイ「A.調整中」

はい、というわけで、調整中です(苦笑)
pc
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